スペインでのリハビリ
   
 

 リハビリについては、最初の右半身の麻痺が強い内は、ベット上で行われていました。退院まで、午前11時頃に作業療法、午後4時頃に理学療法を行う日課となりました。

  作業療法士は、男性のジョセフ先生で、英語を話すことが楽しいみたいです。ですから、治療そっちのけで家内と英語で世間話しをしては、それだけで治療らしきことはしないで、帰っていきます。家内がいないとさびしいみたいで、私に一生懸命話しかけますが、内容がよくわからないので、ノートを使って絵を書きながら話することもありました。

  ドイツと日本を尊敬しているが、スペインの国自体は大嫌いで、バルセロナがあるカタルーニャ地方の国粋主義的な感じで、一言目には「カタルーニャはスペインではなく、カタルーニャである」。毎回この話を延々と聞かされる。大阪に住んでいた頃の阪神ファンに通じるところがあるような感じである。本当に何もしてくれない、してくれても簡単な腰上げ運動と動かない足のマッサージ程度である。この先生から得るものはなにもなかったような感じがする。

 一方、理学療法士は、女性で「ヌレア」24歳、若くてきれいで体を預けても不安がないくらいしっかりとした体型?(写真のとおり腕相撲をしても強い)とにかく熱心で、英語も通じ、帰国のため最小限動ける状態までの目標を持ち親身になってリハビリに取り組んでくれました。

  最初は、ベット上での運動から始まり、次いでベットや椅子に座る練習を始めました。看護士や家内に助けられ、ベットの横の椅子に1日に何度も座らせてもらいました。(1回に長い時間は座っていられなかった)これは、帰りの長いフライトを考え、出来る限り長い時間座っておけるようにとのことからでした。

 9月3日からは、立ち上がる練習と、4つ足の歩行器を使って歩く練習をさせられました。しかしこの時期は、立っていることすら難しく、しかもこの後日本で経験したようなリハビリ室もなく、もちろん平行棒のような支えや補助器具もありません。支えは看護士の「ヌレア」だけです。場所は、病室内と廊下を使って行います。確かに病室は広く、廊下にも手すりがあり、マンツーマンでの治療でもあり、特別な部屋を必要としなかったのかもしれません。

 1週間ほどすると、僅か20m程(病室を出てエレベータの前までの距離)ですが、歩行器を使ってどうにか歩けるようになりました。健康だった頃と較べると、たった20mですが、全力疾走で400mを走ったときと変わらないほど疲れ息が切れました。クーラーも効いているのに、体中汗だくとなりしかも、それが麻痺した右半身の方が盛んにでているようでした。また、感覚的には相当に酒を飲み、酔っぱらった時と同じように体全体がふわふわと浮いているような感じです。

 その後は、歩行器から肘の部分まで支えがある「杖」に変わり、その杖だけでもどうにか連続して20m位は歩けるようになりました。相当時間はかかります。でも、休憩をはさむとまた20m、更に休めばまた20mと歩くけるようにはなりました。これで帰国するとき飛行機内で座席からトイレまでは、どうにか介助があれば行けそうな感じがつかめてきました。

 廊下をリハビリで歩いているときは、通りがかった看護婦が励ましてくれるとともに、ヌレア先生は、いつもゴール近く(エレベータ前)の空き部屋で、タオルと冷たい水を用意して、まっていてくれました。そこで休憩し、腕相撲等をした後、部屋に帰っていきますが、理学療法士をしているだけあって力は相当強かったです。(健常な左腕でも勝てなかった)

 その後、帰国前には、マイ杖が必要なため、病院近くの薬局から家内が購入してきてくれました。さっそく杖にヌレア先生にサインを書いてもらい、帰国後日本でもヌレア先生を思い出しながら利用していました。スペインでのリハビリは、この程度で本格的なリハビリに取り組んだのは日本に帰ってからです。


   理学療法士のヌレアとの腕相撲



     
   
   
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